はじめに

実践コースの目的

実践コースでは、躯体や設備の仕様を変えると、どの程度、エネルギー消費量が削減できるのか、室内環境が良くなるのか、 その影響を計算し、より良い設計へとフィードバックできる知識を身につけることが目的です。

よりよい住宅とはこういうものである、と仕様を決めることはしません。 なぜなら、施主の要望や予算規模、建設地域などによってそれらは変化するからです。 また、時代が進んで新しい技術がでてきた時も変化します。

当勉強会では、それらの条件が変わってもどういう設計をしたらより良くなるのかということを考える体力を身につけることに重点をおいています。 実践コースでは、まず住宅を評価し、その次に躯体や設備の仕様を変えると、どの程度良くなるのか再評価し、その変化の感度を見ることをします。

住宅の性能を表す指標

住宅の性能を表す指標を次に示します。 これらの指標は、どれができてどれができなくても良いといったものではなく、将来的にはまんべんなく評価できることが望ましいです。 これらの指標は以下の3つに大別されます。

  • 省エネルギーに関すること

  • 室内環境に関すること

  • 耐久性に関すること

表1 習得するコースの例

項目

事前に習得しておくべき項目

住宅全体または部屋・ゾーンごとの断熱性能(UA値)

住宅全体または部屋・ゾーンごとの日射熱取得・遮蔽性能(ηA値)

暖冷房エネルギー消費量

UA値・ηA値

給湯エネルギー消費量

換気エネルギー消費量

照明設備の設計(単位光束法)と照明エネルギー消費量

太陽光発電

住宅全体のエネルギー消費量

部屋・ゾーンごとの区画熱損失係数(Q*値)(難)

UA値

部屋・ゾーンごとの通風性能(難)

部屋・ゾーンごとの蓄熱性能(難)

室温の変化(難)

UA値・ηA値

表面温度と作用温度(難)

UA値・ηA値

表面結露(難)

UA値

換気計画(難)

壁体内結露(難)

UA値

太陽熱利用(難)

進め方について

実践コースにおいても、応用コースと同様に、ある住宅を評価し、その次に改修を想定して仕様を変更した後の住宅を評価します。

STEP1
評価を行う方法について勉強する
STEP2
図面や設備仕様など必要な情報を収集する
STEP3
改修前の住宅を評価する
STEP4
改修案を計画する
STEP5
改修後の住宅を評価する

応用コースでは、主に、断熱性能と日射熱取得・遮蔽性能についてやりましたが、実践コースにおいては、先述した指標を対象に進めることになります。 ただし、応用コースから実践コースにあがってきた方については、まずは、1回または2回の実践コースでは、 応用コース同様に断熱性能と日射熱取得・遮蔽性能を対象とする指標として改修案を発表してください。

成果発表会の発表内容について

成果発表会では、改修前後の評価を発表してください。 ただし、同じ物件について違う切り口(評価指標)で複数回にわたって発表することも可能です。 同様に同じ切り口で違う物件について複数回にわたって発表することも可能です。

例)1つの物件を異なる切り口で評価する場合

  • 今期:住宅Aの断熱性能について評価する

  • 次期:住宅Aの日射熱取得・遮蔽性能について評価する

  • 次次期:住宅Aの暖冷房エネルギー消費量を評価する

例)同じ切り口で異なる物件を評価する場合

  • 今期:住宅Aの断熱性能について評価する

  • 次期:住宅Bの断熱性能について評価する

なお、断熱性能や日射熱の取得・遮蔽性能にテーマが偏りがちですが、その他の評価、例えば給湯のエネルギー消費量や、照明の設計などにも積極的に取り組んでください。